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レヌさん企画のムゲンwarsに参加させていただいてる願望の勇者の設定や、 お話を載せるところ。たまに絵とか漫画載せるかもしれない^▽^
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願望は砂漠に住む盗賊の、その中でも頭領の娘として生を受けた。

 
だが、頭領が望んだのは自身の座を継ぐ男子。そして願望が生まれたことによって弱りきった母親は床に伏せ子を産めぬ身体となり、父からも、周りの仲間達からも迫害を受けるようになった。

唯一よりどころの母親も精神を病み「ああ愛しい坊や、かわいいかわいい私の息子」と願望の事を呼ぶようになった。

この時願望に名前は与えられていなかった。

集落の角に追いやられた母親と願望は生きるのに精一杯だった。弱っていく母のため幼い願望は集落を抜けて砂漠の世界に足を踏み入れ、食べ物や薬になるような植物を探し歩いた。

そんなある日、いつものように砂漠を歩いていると激しく争う獣たちの声を耳にする。

砂影からそっと覗くと、砂漠に住まうゴブリン達と狼の群れが殺し合っていた。

次第にゴブリン達のほうが優勢となり、次々と狼が倒れていく。その中に少し小柄な狼を守る1匹の狼がいた。だが無情にもゴブリン達が彼らへと襲いかかろうとしていた。

あまりにも殺気めいた空気と恐ろしさに足がすくみ、願望にはどうすることもできなかった。何もできない自分に悔しさを感じ、目を背けた、その時だった。

自身の横を目にも留まらぬ速さで何かが駆け抜けたと気づいたときには、ゴブリン達の断末魔が聞こえ、あれ程ビリビリと感じた殺気は消え、静寂が訪れた。

願望が目にしたのは、折り重なるように倒れたゴブリン達と、横たわる二匹の狼、そして狼の側に立ちすくむ人間。

風が吹き、長い髪で隠れていたその者の顔が見えた。


見た事もない白く透き通った肌に美しい容姿。目を奪われていた願望だったが、2匹の狼がその片隅に見え慌てて駆け寄る。

その人は言った。

「間に合わなかった。せめて身ごもっているメスの狼の方だけでもと思ったが、ゴブリン達が投げた石槍が喉に当たってしまったようだ…今はまだ辛うじて息をしているが、もうすぐ事切れるだろう」

見上げて覗いたその人の顔は悲しそうなのに、涙は無くその目は遠い何かを見ているようだった。


―…助けたい。
狼も、この人も。


助ける術など知識のない自分には思い浮かばない。だけど諦めたくはない、何もしない、出来ないのはもう嫌だ…―

砂避けのために首に巻いていた長い布を脱ぎ捨て、狼の傷口を抑える。流れ出る血を止めたくてとっさにした行動だった。

「どうしたら助けられる?…教えて…っ」

真剣な眼差しを向けた願望の姿が、影を落としていたその人の目にようやく映ったように見えた。

願望の布を借り手早く止血処理を行うと、手持ちの薬草や簡易治療道具を使って出来る限りを尽くそうとしてくれているようだった。願望も狼の意識が途切れぬように声を上げて励まし続ける。


ほんの一瞬のことだった。


動けないはずの狼が首を持ち上げ瞳孔が開いたままの目で、何かを伝えるようにその人をじっと見つめる。

その意味に気付いたのだろう、その人は腰袋からナイフを取り出し、狼の大きく膨れ上がった腹に押し当てた。

「どうするの?」
「子を取り出す。」
「そんなことしたら、この狼が…」
「母親が、そう託したんだ」

母が望んだこと。
その言葉に自分を重ね、願望は覚悟する。

慎重に腹を割いていく。どっと傷口から血が溢れ出るが痛覚がもう麻痺しているのだろう、狼はただヒュー…と鳴くだけだった。そして袋状の肉に切り目を入れた瞬間、中から水が流れ出て、ともに丸い子狼が数匹見えた。

願望にとっては全てが衝撃的な情景だったが、淡々と母体から子狼を切り離し、息を与えていくその人の姿に正気を保ち、手伝いに入る。

その後、全部で5匹の子狼を孕んでいたようだったが、その内の2匹が鳴くことはなかった。願望が母親の狼に元気に鳴く子狼を見せると、安心したように深く息を吐いて、そして事切れた。



その人はしばらく近くの砂に侵食された廃墟の家に留まり、3匹の子狼の世話をしてくれるようだった。願望も集落に戻り、旅人から強奪した食糧を保存している小屋へ忍び入り、ミルクと食料を少しずつ盗んで届けるようになった。

こんな事が仲間にバレてしまえば、体罰は免れない。以前の願望であったなら絶対にできなかったことだ。けれど、あの狼とあの人と出会った事で願望は大きく成長し、生きる術を学んだ。



しばらくして3匹の子狼が自分で歩けるようになった頃、その人は行かなくてはならない、と言った。その人には目的があるようだった、それが何なのかは結局聞けずじまいだったが。

願望は約束した。


「この子達は私がちゃんと育てる、だから行って」


本当はずっと居て欲しかった、願望にとって初めての友達、だったから。

だからこそ分かってしまった。その人の、あの時見えた遠い向こう側をうつす瞳。ずっと追いかけているのだろう何か。

引き止められるものを願望は持っていない。

せめて心残りがないように安心させて見送ることがその人の為になるのだと自分に言い聞かせ、笑顔を見せた。

するとその人は腰袋から何かを取り出し、3匹の狼へそれぞれ首にそれをかけていく。そして願望にも。麻紐で簡単に作った首飾り、飾り部分は尖った骨のようなものがついていた。

「母狼が死んだ時、供養のため火葬しただろう。その後に残った骨から牙を探して作ったものだ。子を想う母狼の強い愛が、御守りとしてきっと君達を守ってくれるはずだ」

優しく頭を撫でてくれる大きな手に、安心させるはずが自分が安心させてもらってしまったと、願望は流れた涙に気づかれないよう俯いて応えた。


最後の日、精一杯の感謝を伝えて、その人の背中が見えなくなるまで手を振ったのだった…




つづく
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